2026/05/23 23:33

第3話 出張先で、私を解き放つ


チェックインを終え、ホテルのドアを閉める。


見慣れない部屋の静けさに、少しだけ肩の力が抜けた。



けれど、知らない空気の中では、まだ本当の自分に戻りきれない。



スーツケースを開けると、そこにあるのは、ひとつの小さなオーガンジー巾着。



中に入っているのは、いつもの魔法の無撚糸タオル。



ただのタオルなのに、なぜだろう。



これを持ってきただけで、今日の私は少し違う気がした。



外出先まで、あえて連れてきた。



この My 無撚糸Towelは、私に不思議な魔法をくれるから。



シャワーを浴びて、髪を乾かして。



ホテルの鏡の前で顔を整えたあと、そっとそのタオルを手に取る。



ふわりとしたやわらかさが、旅の疲れと、今日一日の緊張を静かにほどいていく。



顔にあてると、空気が変わる。



ここはもう、知らない場所じゃない。



白いタオルの中に、私だけの静かな場所が生まれていく。



この一瞬が、My Personal Space。



この一瞬が、私を少しだけ自由にする。



これが私のナイトルーティーン。



仕事のために来たホテルのはずなのに、気づけば私は、ちゃんと私でいられる。




明日を迎える前のこの夜に、小さな魔法をひとつ、そっと持ち込んだだけなのに。